マングローブの現状

世界のマングローブ
 世界のマングローブ林はアジア、アフリカ、南米、オーストラリアの熱帯地域沿岸に広がっており、総面積は1,700万haに及んでいる。それらは地球上で最も生産性が高く、生物の多様性に恵まれている一方、最も環境破壊の危機にさらされている。マングローブ林は人間による過度な利用や暴風雨などの自然災害により、年間で10万haが失われ、現在も他の種類の森林より速い速度で減少している。また、立木はあっても存続が危ぶまれているレベルまで劣化している可能性がある*1。
1)International Tropical Timber Organaization の資料による。 

フィリピンのマングローブ
 フィリピンでは、50年前のマングローブ林40万haの4分の3が、人為的な開発により、ほぼ壊滅状態である*2。
 汽水域に生育するマングローブ林は、水生動物の産卵場所、小魚や甲殻類の揺籃場所として重要であり、マングローブ林減少は近海漁業の不振のひとつの原因とされる。かつては、マングローブ林が日本の里山と同じように、必要な量の薪や食べ物を収穫するエコバランスの取れた場所であった(海の里山と呼ばれる)。東南アジアのマングローブ林は、都市への薪・建築材の供給、日本向けのエビの養殖池の造成などにより、大量伐採を招いたと言われる。また、貧困ゆえの違法伐採が後を絶たず、環境面での啓発、住民の自立支援が求められている。単に機械的な植林をするのではなく、地域での合意形成、住民などを巻き込んだ植林、住民への啓発、雇用確保など自立支援による貧困問題解決が大きな課題である。

2)中村武久,中須賀常雄;「マングローブ入門 海に生える緑の森」

ネグロス島の森林
 フィリピンNegros島(フィリピンで5番目に大きい島)は、かつて土地利用の95%森林であったが、1996年調査ではわずか4%を残すのみである。材木の利用、農地開墾、都市化などの要因により、森林伐採が行われてきた。近年、行政は森林保護地域を設定し、山間部に植林事業を進めつつある。他方、海岸部では、かつてのマングローブ林13,000ha(1950年代調査)がほぼ壊滅状態で、現在約500haしか残存していない(現在、保護地域に指定)。感潮地帯に生育するマングローブ林は、水生動物の産卵場所、小魚や甲殻類の揺籃場所として重要であり、マングローブ林減少は近海漁業の不振のひとつの原因とされる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です